― 新人アパレル販売員のために ―

もうすぐ4月。新社会人の誕生である。アパレル業界もご多聞にもれず、現場では、たくさんの「新人アパレル販売員」が誕生する。仕事はなんでもそうだが、新人は、まさに産まれたての赤ん坊だ。何もできない。「かわいさ」だけが売りだ。


しかし、ファッションを売る「店頭」という現場にあって、お客様にとって「新人」かどうかなど、どうでもいいことだ。お客様には、わざわざ店頭に足を運んいただいている。新人販売員も「プロのおもてなし」をしなければならないし、もし店頭が百貨店ならば、高度なレベルが要求される。


「プロのおもてなし」とは何か?これについては、後日考えていきたいのだが。とりあえず「販売行為」だけだと、下記の二つに絞られる。
・商品知識
・フィッティング技術


「・商品知識」というのは、ある程度、座学のところもあり、また書籍やネットを使えば、いくらでも入手できる。しかし「・フィッティング技術」というのは、「現場で学ぶもの」と考えられているためか、書籍や研修が少なく、店頭初日の新人販売員は何も知らないことが多い。(せいぜい股下のピン打ちができるぐらいか。)


特にスーツなどのテーラードを扱うならば、高度な「フィッティング技術」が要求される。だから、「現場で学ぶ → 事前に何も教えない」になってしまうのだが、それは誤りだ。「フィッティング技術」というのは、まさに「ケーススタディの集合体」だ。その引き出しを増やすことで、より高度なものに磨きをかける。私自身もまだまだ勉強中だ。しかし「スーツを一着販売する」にあたって、最低限必要な「フィッティング技術」というのは、それほど多くない。そして、実際に現場に立つ前に修得できるものでもある。


私自身が指導した経験として、入社したばかりの「新人」に、催事売場で販売応援に入ってもらったのだが、股下のピンすら打てない状態で、およそ販売応援にならない。が、私も猫の手が欲しいくらい人でが欲しく、そして売上を取りたかったので、その新人がフィッティングするのに立会い、僕がフィッティングしているのを見てもらったりして、数時間勉強してもらった。彼が優秀だったのかもしれないが、催事が終了する一週間後には、立派な販売員になっていた。最低限必要なフィッティング技術は「数時間あれば身につく」と僕は実感した。


なので、4月より「店頭」というファッションの現場に入るアナタのために、3月より「最低限必要な"売るため"のフィッティング技術」を書き進めていきたい。