【男着物の話】半衿にこだわる。

私自身、スーツをテーラーや百貨店で販売してきましたが、2011年日本に帰国後は、仕事の幅も広がり、スーツ以外に着物に関わることが増えてきました。これまで私は茶道を趣味としている関係で、着物を着る機会はありましたが、正直、今まで着物をファッションとしてとらえていませんでした。帰国後、着物を格好良く着る"着物男子"達に出会い、その考えは大きく変わりました。これまで培ってきたメンズ・アパレルの技術と融合させて、ブログで着物についても取り上げ、自己の研鑚と、一人でも多くの着物ファンを増やせれば幸いです。

さて、男の着物選びで迷った時に「着物にはスーツの色を、帯はネクタイの色柄を…」と言われます(木下勝博士著『はじめての男着物(河出書新社)』引用)。「スーツ」「ネクタイ」と言えば、これまでの専門分野で、確かに、この基準で着物を選んでも、全然問題無いと思います。なので、こと私のブログをご覧になっている方は、スーツに関心の高い方が多いので、スーツと同じ感覚で選んでいただければ、全く心配ありません。

ただ、スーツも同じことが言えますが、男の着物は、落ち着いた色や柄が多く、本人が思っているほど周りからは違いが分ってもらえません。スーツでいえば、「スーツ・シャツ・タイ」の三つの組み合わせによって見え方を変えることができますが、着物の場合、先にあげたようにシャツに替わるアイテムがありません。着物と帯によってコーディネートしていくしかないことになってしまいます。

そこで、僕が提案したいのが「半衿(はんえり)にこだわる」です。半衿とは、和服用の下着である襦袢に縫い付ける替え衿のことで、首もとに少し見えます。女性の着物の場合、この半衿にこだわり、色柄のバリエーションも多いのですが、店頭で「半衿ください」というと、男用の無地のつまらないもが出てきます。なので私は、女性用として売られている半衿から選んでいます。実は男性用も女性用も大きさはあまり関係なかったりします。

上の写真は、私の着物ですが、半衿は女性用の物をつけています。下の写真(左)がいわゆる男性用の半衿なのですが、悪くはないのですが、まさに着物を着ています、という感じで、ファッションとしての遊びがあまり無い気がします。ただの紺無地の半衿を使うのでは無く、なにかしら柄の入った半衿を使うとまたちょっと雰囲気が変わってきます。

上の写真(右)の半衿は、百人一首の絵札の柄の入ったもの。上の花柄はとは違い、こちらは抜けた感じが出るような気がします。半衿によって全然雰囲気が変わりますね。半衿は、スーツで例えると、上着の胸に指す「ポケットチーフ」に近いような気がします。見える分量は少ないですが、スーツにこだわっている人は、必ず気を使っているアイテムです。ポケットチーフの基本は、白やスーツの地色に近い色で、無難にコーディネートしますが、ちょっとずつ柄や色のあるものを差していくことで、お洒落になります。半衿もそういった考え方で、着物の見え方もグンっと変わってくるように思えます。

なお、半衿は、自分で縫ってつけなくてはいけないので、手間はかかりますが、その分、効果は絶大です。しかも、半衿はお財布に優しく、数百円から手に入ります。着物や帯も安いものがありますが、そういくつも買うわけにはいかないので、半衿を付け替えて、着物を楽しんでみてはいかがでしょうか^^

【参考】半衿の付け方:http://www.fujikiya-kimono.com/blog/?p=32

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【浅草・弥姫乎(みいこ)/鈴楼】

冒頭でも触れましたが、現在、浅草にある【弥姫乎(みいこ)/鈴楼】という和風洋服や着物レンタル、Cafe&Barにたずさわっており、もしブログの記事を読んで、着物に興味を持ちましたら、是非、浅草で遊びがてら、着物を着てみてはいかがでしょうか?メンズの着物レンタルも取り扱っております。詳しくは、HPをご覧くださいませ。http://www.meeko-meeko.com/kimono.html