需要のフロートチャート

一応私は、ファッションのビジネススクールを卒業したわけだが、
そこで習っていないことで、かねてより思うことがありまして、
それを今回は書こうと思います。


『ファッションに関する需要のフロートチャート』


ジャケットやスラックスなどを購入する上で、
何か一定の法則性に沿って、流れにそって、
需要が進化しているように思う。


例えば私でいうと、
今年の秋冬は「ダブルのスーツ」が欲しいと思っている。
スーツは何年か着ているが、いつもシングルでダブルは初めてである。


ダブルといっても、バブルの頃のスーツに代表される、
比較的ゆったりとした、だぶだぶとしたものではなく。
細身のダブルである。新生ダブルといえよう。


今秋冬の各ブランドのラインナップを見ても、
今年は新生ダブル元年と言えるほど、
ダブルを用意しているブランドが多い。


ただ初めてのダブルスーツということもあって、
着こなし方が見えてこない。


自分のサイズはシングルスーツのものを
当てはめてみようと思っているのだが、
着丈、袖丈など細部をどういう風に調整するか
未だに悩んでおり、


とりあえず、コレクションの画像の中からダブルのモノを
かき集めて見ていろいろ研究している最中である。


去年よりも、今年の方がモノを見る目が厳しくなっているし、
それは終わりがなく、際限がない。
まさにファッションのおもしろさそのものである。
そこで、今回はその流れをフロートチャートに起こし、
ブログに書き留めておきたい。



第一段階「型」
「型」とは、ジャケット、パンツなどのアイテム分類。


昨年の春夏、原宿の古着屋で大量にベストが陳列してあった。
デザインにこだわったものというより、今思うと、
ベストというベストを大量にかき集めたような感じだった。


今年の夏、裏原宿のサロンボーイを中心にベストが流行した。
先のベストの陳列は、今年の前触れであったのだろう。
「とにかく何でもいいから○○(ベスト)が欲しい」
これが第一のフロートチャートの「型」といいたい。



第二段階「色」
アイテムの色。


かつてアイビールック全盛の頃の話である。
『紺ブレブーム』というのがありました。


「とにかく紺ブレが欲しい」という声が売場ではあったようです。
サイズ関係なしに、とにかく紺ブレが着たいという需要。
たとえ紳士モノであっても、女性の方が自分用に買いにきたようです。
それがブカブカでも、あわせが逆であったとしても。



第三段階「サイズ」
S M L LL 
42 44 46
A5 A6 A7
7号 8号 9号などなど


サイズの表記は様々ですが、第三段階は、その「サイズ」です。


着る人の適正サイズ。
第二段階の紺ブレの例に取れば、適正サイズで着用する状態。
あくまで適正サイズであって、嗜好サイズ(好みのサイズ)ではない。
嗜好サイズについては第四段階で現れる。



第四段階「シルエット・デザイン」
「タイトめに着たい」
「ゆるく着たい」などの要望がここにあたる。


例えるならば、ドレスのメンズでは、
インコテックスをはじめとする「グレーのスラックス」が
ここのところ人気だ。ブームといっても過言ではないように思う。


実は最近までは、このインコテックスのパンツを、
適正サイズよりワンサイズ落として、
ウェストとヒップを自然だしして、
細身に着るのが一部の人に支持されていました。
(理由はワタリのゆとりを少なくするため)


それを受けてか、今年の秋冬モノのインコテックスでは、
「スリム ライン」と称して、完全にパターンを変えて、
細身のラインを作った。やはり売れているようだ。


そして第四段階のもう一つの「デザイン」。
これをどこに入れるか悩みました、
第五段階べきなのかもしれないが、とりあえずココに入れます。
「短い着丈のジャケットが欲しい」「ボタンダウンのシャツが欲しい」などなど。



第五段階「付加価値」
最近では最終段階に迷ったら、
何かと「付加価値」とつけるのが流行っている気もしますが。
自分も今回そうしておきます。

とりあえず物理的なものでいえば、洗い加工など、
第四段階の「デザイン」との違いが難しいが、
一歩先のものと考えたい。



【考察】
フロートチャートといっても、それぞれが(又は他の因子が)、
複雑にからみあっているわけで、人によって違うわけで


例えば第四段階の「デザイン」で上げた
ボタンダウンが欲しい」であれば、
クールビズの関係で人気であったわけで、
店頭ではサイズ切れもあっただろうし、
「とにかくボタンダウンであれば(何でも欲しい)」
という状況も存在したはずである。
そうすると、需要のフロートチャートとしては、
第一段階の「型」に戻るわけです。


また冒頭で述べた私のダブルのスーツの例でいえば、
現在、第三段階の「サイズ」と第四段階の狭間で
格闘している最中といえよう。


今回のフロートチャートは完全なものではないが、
次の需要を予測する上で、有効に活用していこうと思う。