- 「売りたい物」と「売れる物」は違います。 -

新人アパレル販売員のために no.3

ファッションにこれからたずさわる方にとっては、残念なことなのだが、 「売りたい物」と「売れる物」は違います。「売りたい物」というのは、ブランドが「今季はコレを提案したい!」というものです。分かりやすくいうと、コレクションブランドでいえば、キャットウォークを歩く、見栄えの良い・新しい商品のことです。

メンズとレディース、カジュアルとドレス、ターゲット、店舗形態によって、その構成比は違うのですが、(昔になりますが)エディ・スリマンのDior Hommeであっても、売上を支えたのは「デニム」であって、その大きな柱があるからこそ、クリス・ヴァン・アッシュに交代後も、ブランドはそれなりに継続している。

ポイントは、お客様は、皆様新人アパレル販売員と違って、必ずしもファッションのことばかり考えている訳ではなく、いろいろなライフスタイルがあることです。また不景気、閉塞感など世の中の雰囲気が、服選びにも影響を与えます。特に今は、それが強く、お客様は、コンサバティブ(保守的)な方向に流れがちです。私が得意としたテーラードにあっては「シャドーストライプの黒」が一番の売れ筋でした。

しかし、「売れる物」ばかり追っていては、そのブランドもしくはショップは、お客様にとってツマらないものになってしまいます。新しいものを提案しつつ、数字をとっていく商品(売れ筋)を作っていく。このサジ加減が、非常に難しい。 販売員はメーカーに売れ筋を伝え・作らせ、メーカーの提案したい新しいものを効果的に見せる。これがプロの販売員の仕事です。