「アパレル販売」を「ファンクショナルアプローチ」する その2

前回のつづきです。

【ステップ3】ファンクションを整理する
ステップ2で出てきたファンクションを、ポストイットを使って整理するのだが、まずそれぞれのファンクションをポストイットに書き出し、任意のポストイットが、何のためなのか、また書き出したポストイットの中から探す。例えば≪ピンを打つ≫は、≪寸法を決める≫ために必要なので
≪寸法を決める≫←≪ピンを打つ≫
といった具合にポストを貼り付けていきます。その繰り返しを、全ての書き出したポストイットに行い。一つのツリーを作っていきます(FASTダイヤグラム)。なお、ポストイットを貼り付けて整理していく段階で、足りないと思われた機能は、つど新しい機能として、ポストイットに書いて追加していきます。例えば、下記に上げたツリーのトップの≪売上をたてる≫は、ステップ2では出てこなかった機能であり、「百貨店における洋服の販売」において、改善の余地の無い、もっとも重要な機能といえます。

【ステップ4】キーファンクションの価値を測る
大きな枝(キーファンクション)ごとに線でくくって、インプット量(どのくらい力をいれているか?)とアウトプット量(お客様の評価は?)ごとにそれぞれ三(or五)段階評価で点数をつける。その結果をフロートチャートに当てはめ、CとDにあるキーファンクションの改善を図り、AかBに昇華させる方法を考える。


キーファンクションの評価は、それぞれのショップによって違うが、この「売上をたてる」という最も重要な機能(最上位ファンクション)に対して、このツリーだけでは≪再来店を促す≫が著しく欠けていることが分かる。再来店を促し、お客様を『顧客化』していく戦術を練る必要がある。そのために≪DMを送る≫などが追加される(ここが凄く重要な気がする、なので「など」)。また逆に≪ターゲットを決める≫は必要以上に販売員が気にしている可能性がある。ボーリング場のレーンと化した、現在の百貨店にあって、目を光らせる販売員は、お客様に圧迫感を与える可能性がある。ここはマイナーチェンジし、百貨店としては「集客を増やすこと」が課題として浮上してくる



【まとめ】
一見すると、「何をやっているんだ俺は」という錯覚に陥るのですが、テーマである「百貨店における洋服の販売」を分析している間に「売上をたてる」という最も重要な機能(最上位ファンクション)が出てきました。今度は、その最上位ファンクションを達成させるため、上手く回転していないところについて、改善すべく、アイデアを練っていく(手段を探していく、下位化していく)と、自分が「百貨店における洋服の販売」において「売上をたてる」ために抜けていた部分がどんどん見えてきたように思う。また、この「百貨店における洋服の販売」を分析していると、このツリーの体系で新人アパレル販売員のための効率の良い育成プログラムが組めることに気がついた。

今回の分析結果は、百貨店のみならず、セレクトショップや個人店舗を含めて、全てのアパレル販売に応用できるように思う。販売に従事する方は、参考にしていただくと面白いはず。また、販売に関係に無い方でも、ファンクショナル・アプローチの事例としてご覧いただければ幸いです。なお、今回は、横田尚哉著『ワンランク上の問題解決の技術《実践編》』をもとにファンクショナル・アプローチを行った訳ですが、速読を修得していない僕でも、半日もあれば読めるので、是非手にとって読んでいただければと思います。

横田尚哉・公式WEB;http://www.yokotahisaya.com/