「身だしなみ」と「お洒落」の違い。

なぜ百貨店の店員はヒゲを剃らなければならないのか?

「身(み)だしなみ」と「お洒落(/オシャレ)」の違いは、有名ではあると思うのですが、ファッションを考える上で非常に重要なものであると思います。なので、本日は、これについて簡単にではありますが、取り上げていきたいと思います。

・「身だしなみ」とは、客観的な視点から、着飾ること
・「お洒落」は、主観的な視点で、着飾ること

例えば、営業のビジネスマンが、黒や紺のダーク系の色で無地もしくはシャドーストライプの柄のスーツに、白シャツ、そしてネクタイを締めるという典型的なこのファッションは「身だしなみ」です。お客様の気分を害することなく、自分がちゃんとした人間であることをアピールするために、これらのファッションは用いられ、今でも多くの方に支持されています。

ですが、同じスーツであっても、チョークストライプなどの柄がハッキリしたスーツに、更に色のあるシャツを合わせるなどした場合、これは「お洒落」になります。どちらかというと自分の好みが中心になって選ぶファッションです。従って、お洒落の度が過ぎてしまうと、それは自己満足の他に何物でもないものになってしまいます(なお「自己満足で何が悪いの?」という意見も僕なりに理解しております)。

この二つ、「身だしなみ」と「お洒落」の違いが理解できれば、冒頭の「なぜ百貨店の店員がヒゲを剃らなければならないか」が分かります。一般的に「ヒゲをはやしている男性」は、"だらしがない"として印象づけられてしまいます。確かにヒゲが好きな人もいらっしゃいますが、百貨店というのは、不特定多数のお客様が出入りする売場です。つまり「身だしなみ」が重要視されます。なので、その不特定多数のお客様に対して、失礼の無いようにする必要があるため、基本的にヒゲは禁止されているのです。しかし、一部のデザイナーズ・ブランドなど、独特の世界観をもったブランドで、ヒゲを生やしたスタイルがプラスになることもありえます。個人的には、そのお店全体の雰囲気も考慮し、僕はヒゲがあっても良いという立場なのですが、その場合、その店員は、普通の販売員以上に接客の一挙手一投足に配慮しなくてはならないと思います。「ヒゲがある店員がいて気分を害した」というお客様からのクレームがあったならば、その瞬間にトイレでヒゲを剃らざるをえないでしょう。

最後になりますが、この「身だしなみ」と「お洒落」のバランスを考えながら、日々鏡の前で悪戦苦闘するのが『ファッションの醍醐味』であり、『ファッションの楽しさ』だと思っています。今日は季節のかわり目の日曜日、さぁ、鏡の前のあなた、今日はどんなファッションで街にくりだしますか?ストリートは、あなたのキャットウォークですよ。